2012/09/21

ISLAMIC BLUES.


まさか、自分がイランに行くなんて、
夢にも思っていませんでした。
しかも、今にも戦争が始まりそうな最悪のタイミングで

アメリカに18年、毎年通ったので、
自分の中で何か興奮しなくなっていましたし、
こんな気持ちじゃ、良い写真も撮れない

自分の庭のように慣れ過ぎたビッグマウンテンに、
今年こそ、今年こそ飲み込まれるんじゃないか。と、
ただ、野生の勘。でした。

最初は。僕がロンドンに住んでいる事から、
「ねェ。雪なんて無いけど、のんびり電車の旅でもしながら、
スコットランドにでも行ってみない?」
と、僕がカメラマンの辻氏に軽く話したのが始まりでした。

でも、なぜか僕が滑り降りたのは、
出国前から命懸けのイラン3800m。
入国拒否。全機材没収。雪崩。逮捕3回。留置所送り。他

人生なんてこんなものだと思います。
知らない国だからこそ、自分の身体で体感してみなきゃ分からない。
僕にとってステレオタイプや、
そこを動かない(動けない)事の方が、死ぬより耐えられない事なのです。

ナイフをノドに沿わされ、
コメカミにマシンガンを当てられ、
留置所にブチ込まれたりしても。

生きて帰って来たからこそ。

僕達はあの最悪の情勢のイランで生き延びました。
フォトグラファーの辻氏も別件で拘束され、
一旦ロシアに身を隠し...

僕達はそんなイランのリアルな写真を、
全て持ち帰っています。